こんにちは。「東京肉骨茶(トウキョウバクテー)」の伊藤です。

キッチンカーでの開業を考えている皆さんは、『どんな車にしようか』『どんなメニューにしようか』と、夢を膨らませているところではないでしょうか。

ただ、その夢を実現するために避けて通れない、非常に重要なステップがあります。

それが「機材選び」です。

キッチンカーの厨房は、皆さんが想像する以上に「スペースとの戦い」です。

限られた空間にいかに効率よく機材を配置し、スムーズに調理・提供できるか。

この「動線設計」が、売上を大きく左右すると言っても過言ではありません。

「何を売るか」が「何を積むか」を決める

「あなたが何を売りたいか」によって、必要な機材は根本から変わってきます。

例えば、揚げ物をやるなら「フライヤー」が必要です。

これは大きな判断になります。

フライヤーは油を入れたまま運搬できませんから、営業前後に油を安全な缶(密閉できるものがベストです)に移し替えて運ぶ手間が発生します。

油の扱いは大変ですし、車内も汚れやすくなるため、頻繁な清掃も欠かせません。

では、私の「東京肉骨茶」のようにスープを大量に扱う場合はどうでしょう。

家庭用のガスコンロでは火力が弱くて話になりませんから、火口が三重になった業務用の「ハイカロリーバーナー」が必須です。これでスープを入れる巨大な「寸胴(ずんどう)鍋」を熱します。

寸胴鍋は深いので、これに肉を入れてしまうと、お客様の注文ごとに肉をトングで取り出すのは至難の業です。

そのため、仕込んだ肉は別の「浅い平鍋」に入れ、そこで温めながら素早く提供します。

つまり、スープを炊き込む「ハイカロリーバーナー+寸胴鍋」のセットとは別に、提供用に「平鍋+もう一つのバーナー」(こちらはハイカロリーでなくても大丈夫です)のセットが必要になるわけです。

このように、「何を売るか」を決め、そのために「必須の機材は何か」をリストアップする。そこからがスタートです。

最大の落とし穴は「ネット購入」と「ビルダー任せ」

ここで多くの人が陥りがちな落とし穴が2つあります。

1つは「機材のネット購入」です。

ネットは安くて便利ですが、キッチンカーの機材選びではお勧めしません。

なぜなら、「カタログの寸法」と「実際に置いた感覚」は全く違うからです。

私も開業時、厨房機器の聖地「かっぱ橋」へ足を運びました。

そして、自分のキッチンカーを持ち込んで、「この寸胴は入るか?」「バーナーをここに置いたら、作業スペースは残るか?」と、実際に機材を積ませてもらって確認したんです。

並べてみると、「ここが出っ張って、じゃまだな」とかが出てきます。

スペースに限りがあるからこそ、この現物確認がとても大切なのです。

2つ目は「ビルダー(キッチンカー製作者)任せ」です。

「プロに任せれば安心」と思うかもしれませんが、ビルダーは“あなたが何をどう調理するか”までは知りません。

「バクテーをやるので、39cmの寸胴とハイカロリーバーナーを置くスペースが要る。だから、ここのテーブルはカットして低くしてほしい」と具体的に伝えなければ、使いにくい厨房が出来上がってしまうことになります。

これは新しくキッチンカーを作る場合も、中古を改造する場合も同様です。

メニューが決まらなければ、内装は作れないのです。

電源、冷蔵庫、そして「秘密兵器」

機材選びは大物だけではありません。

食材を扱うキッチンカーですから、冷蔵庫はマストですが、最近はイベント会場やオフィス街のランチスペースで「発電機禁止」の場所が非常に増えました。

そうなると、電源は「リチウムイオンバッテリー」が主流になります。

リチウムイオンバッテリーは静かなので車内に置いたまま使えますが、プロ仕様の大きなものでも稼働時間は5時間程度。

ちなみにランチ時間だけなら、冷蔵庫を置かず、「密閉容器×高性能の保冷剤」で乗り切るという手もありますよ。

「東京肉骨茶」だと、ライスがセットでつきますので、炊飯器も置きます。

また、スープを扱うので、こぼれないように運ぶ機材が必須。

そこで寸胴鍋を、蓋が金具でパチンと密閉できる「パッキン寸胴」という特殊な鍋にしています。

車で移動してもスープが一切こぼれませんので、スープを扱うキッチンカーにとってはまさに秘密兵器ですね。

「悩み」を「強み」に変える選択

ここまでお話ししたことは、すべて私自身が悩み、時には失敗しながら蓄積してきたノウハウです。

レードル(お玉)一つとっても、提供スピードを上げるために、どの大きさのものを、どこに置くか。

こうした細かな工夫や機材選定は、開業時に一人でやろうとするのは本当に大変です。

ちなみに東京肉骨茶では、必要な機材は、ハイカロリーバーナーからパッキン寸胴、レードル一本に至るまで、すべてリスト化されています。

機材選びにも同行しますので、実際のキッチンカーを持ち込んで、「ここにバーナーを置きましょう」「この隙間にはこの冷蔵庫がぴったりです」と、一緒に設置確認をしながら揃えることができます。

開業で一番大変な「機材と動線の設計」をお手伝いしますので、どうぞ安心してお任せください。