はじめまして。東京肉骨茶(とうきょうばくてー)の伊藤です。
「キッチンカーってお正月の神社やお祭りで見かけるから、今が一番の稼ぎ時でしょ?」なんてよく聞かれます。
でも実は、私たちキッチンカー店主にとって、お正月は一年で唯一「ホッと一息つける」本当に貴重なオフシーズンなんです。
今回は、意外と知られていない私たちの年末年始のリアルと、そこから見えるキッチンカーという「自由な働き方」の形についてお話しします。
お正月は「キッチンカーが唯一、胸を張って休める時」
実は、お正月の三が日にキッチンカーを動かしている人は、まずいません。
「初詣の神社には屋台がたくさん出ているじゃないか」と思われるかもしれませんが、あそこは昔から「テキ屋」さんたちが場所をしっかり守っている聖域。
キッチンカーが入り込める隙間は、実質ゼロと言ってもいいでしょう。
オフィス街は当然お休みですし、普段は年中どこかの現場に出ているオーナーたちも、この時ばかりは潔くハンドルを置きます。
一年中フル回転している車を隅々まで掃除して、家族とこたつを囲む。
世の中が仕事をしていないからこそ、僕らも「今は休んでいいんだ」と心から思える。
キッチンカーで働く人にとって、お正月は一年で唯一、心ゆくまでゆっくりできる特別な時間なんです。
自由をデザインする「3つの働き方」
お正月を過ぎれば、また自分らしい「自由な働き方」が始まります。
キッチンカーの面白さは、自分のライフスタイルに合わせて仕事の形を100%自分で決められることです。
自由な働き方には、主に3つのパターンがあります。
1.オフィス街のランチ特化型
丸の内などのオフィス街を主戦場にするスタイルです。
平日のランチに全力を出し、オフィスがお休みの土日祝はきっちり休む。 会社員に近いリズムで安定して働きたい人に向いています。
2.夢を追うイベント・フェス特化型
全国の「肉フェス」や音楽イベントなどをトラックで駆け巡る、いわば「現代の寅さん」のようなスタイル。
ちなみに、私の友人のトルコ人は、5台のトラックを走らせて年商6,000万円を稼いでいます。1ヶ月間イベントでドカンと稼いで、翌月は1ヶ月まるごとハワイで過ごす……なんて夢のある生活も、この世界なら可能です。
効率を追求するハイブリッド型
平日はオフィス街、休日はイベントへ。
この働き方が一番効率がいいですね。
オフィスがお休みの祝日は、人が集まる場所へ自分から出向いていく。
この組み合わせが、安定と高収益を両立させる秘訣です。
全てを一人で創り出す「エキサイティングな修行」
私の扱っている「肉骨茶(バクテー)」は、その珍しさもあってオフィス街のランチでも非常に人気です。
さらにイベント会場ともなれば、お祭り特有の非日常感も手伝って、1.5倍以上の価格でも売れていくでしょう。
こうした話を聞くと「働き方も時間も自由で、価格も自分のさじ加減で決められるなんて、気楽でいいですね」と思われるかもしれません。
ですが、この「自由」を自分の手で掴み取るには、単に美味しい料理を作るスキルだけでは到底足りないのです。
キッチンカーの運営は、実は緻密なビジネスの積み重ねです。
まず、利益を出すための「仕入れ」のシビアな管理。
次に、数ある候補から最も売れる「出店場所」を自ら開拓し、条件を交渉する営業力。
そして、場所や客層に合わせて一瞬で価値を伝える「看板(集客)」のデザインや、利益率を最大化させる「価格戦略」。
これらすべてを、たった一人で、しかも車一台という限られたリソースの中で決断し、実行し続けなければなりません。
それはもはや、単なる「移動販売」の域を超えています。
たとえ車一台でも、仕入れから販売、広報、経理までを完結させる、一人で会社を経営する社長そのものなのです。
だからこそ、私はこう確信しています。
この「全部自分でやる」という過酷でエキサイティングな経験を、失うものの少ない若いうちに一度でも通っておけば、将来どんな組織に属そうが、あるいは別の事業を興そうが、どこへ行っても通用する「本物のビジネススキル」が骨身に刻まれるはずだ、と。
お正月に、誰に遠慮することなくしっかり休み、英気を養って、また新しい一年を自分の足で走らせる。
もしあなたが「自分の力で人生を動かしたい」と願うなら、キッチンカーは、あなたの可能性を試す最高にエキサイティングな挑戦になるはずです。






