こんにちは!「東京肉骨茶(バクテー)」創業者の伊藤です。
これからキッチンカーをはじめようと準備を進めている方からよく受ける相談の中に、「夏はかき氷、冬は鍋みたいに、季節限定のメニューやキャンペーンをやった方がいいんでしょうか?」というものがあります。
店舗と違って小回りが利くキッチンカーだからこそ、季節に合わせてメニューをガラリと変えたり、新しい企画を次々に打ったりしたくなる気持ちはとてもよく分かります。
ですが、現場で長年キッチンカーと向き合ってきた私の答えは少し違います。
結論から言うと、季節感やキャンペーンという言葉だけに踊らされる必要はありません。
大切なのは「季節」ではなく「誰に売るか」
一番に考えなければいけないのは、流行りや季節のイベント感ではなく、「自分たちがターゲットにしているお客様が誰で、その人たちがその場所で何を求めているか」という点です。
例えば、夏だからといってかき氷を売り出すとします。出店場所が遊園地や動物園で、遊んで喉が渇いたファミリーがターゲットなら、かき氷は大正解です。
しかし、私たちがメインとしているビジネス街のランチタイムはどうでしょうか。
オフィス街で働く大人たちが、貴重な昼休みにお昼ご飯としてかき氷を食べに来るかといえば、まず食べませんよね。
ビジネス街の夏場なら、ガッツリと冷たいものというよりは、つるっと食べられる杏仁豆腐や豆花(トウファ)のような、ランチの後にちょっと添えられる冷たいデザートの方が圧倒的に求められます。
実際に東京肉骨茶の豆花は、毎回売り切れてしまうほどの人気です。
メニューの変化自体が悪いわけではなく、出店場所とターゲットの行動パターンに寄り添っているかどうかが重要なのです。
看板メニューという「柱」をブレさせない
また、リピーターを増やしたいからといって、キャンペーンのたびに味やメインメニューをコロコロ変えてしまうのも危険です。
キッチンカーにとって最も大切なのは、看板メニューという柱を絶対にブレさせないことです。
「あそこに行けば、いつものあの美味しい料理が食べられる」という信頼こそが、キッチンカーにとって最大の強みになります。
揺るぎない柱をしっかり立てた上で、ターゲットに合わせたサイドメニューをプラスワンとして添える。
これが一番手堅く、お客様にも喜ばれるやり方です。
ちなみに、新しいサイドメニューを検討するときには、単なるアイデアだけでなく「キッチンカーならではの現場の壁」も頭に入れておく必要があります。
魅力的でも不採用? 現場でぶつかるコストとオペレーションの壁
本場の肉骨茶に欠かせない揚げパンの「油条(ヤウティウ)」や、ココナッツジャムを塗った「カヤトースト」などは、非常に魅力的で私自身も一度は導入を考えたメニューです。
しかし、油条は現地から仕入れようとすると冷凍の輸送費が高すぎてコストが見合いませんし、車内で自分で揚げるとなると油の管理や作業スペースの問題が出てきます。
カヤトーストも味は最高なのですが、ランチというよりは10時や15時のおやつ向きです。さらに、トロトロの半熟卵をつけて食べるスタイルだと、専用の容器を用意しなければならず、立って片手でサクッと食べるという手軽さが損なわれてしまいます。
どんなに魅力的なメニューであっても、仕入れコストや車内でのオペレーション、そしてお客様がその場所でどう食べるかまでシミュレーションしておかないと、現場で苦労することになってしまいます。
ブレない軸を持つことが、長く愛される近道
キッチンカーの商売は、最初は認知されるまで時間がかかることもあります。
私たちの肉骨茶だって、初日は数杯しか売れないようなスタートでした。
それでも、出店場所とターゲットを見極め、軸をブレさせずに売り続けてきたからこそ、今では多くのお客様に愛される商品になりました。
メニューに変化をつけることばかりに気を取られず、まずは自分たちの看板メニューを誰に届けたいのかをじっくり考えてみてください。
ブレない軸を持つことこそが、長く愛されるキッチンカーを作る一番の近道です。みなさんの挑戦を心から応援しています!







