こんにちは。東京肉骨茶(バクテー)創業者の伊藤です。

キッチンカーを運営する上で忘れてはならないのは、「お客さんにどうやって代金を支払ってもらうか」という工夫です。

よく「お客さんの利便性を考えたら、カードでも電子マネーでも、何でも使えるようにしておいた方がいいのでは?」という声を聞きます。

でも、現場のシビアな台所事情を考えると、実は何でもかんでも導入するのが正解とは限りません。 今回は、私がコロナ初期に開業してから現在に至るまでの実体験を交え、キッチンカーにおける支払い方法の「リアルな裏話」をお伝えします。

「現金はお金がかからない」という大いなる誤解

私がキッチンカーを始めた頃は、まだお客さんの9割方が現金払いでした。

何も言わなくても、自然と千円札を出してくださる、そんな古き良き時代です。

しかし、ここ数年で状況は一変しました。

今、「現金を維持するコスト」が異常に高くなっていることをご存知でしょうか。

銀行の両替有料化と厳しい制限

3年ほど前から各主要銀行で両替の手数料化が一気に進み、今や窓口や両替機を使うだけで、1回につき500円〜550円程度の手数料が飛んでいきます。

さらに、ルールもめちゃくちゃ厳格です。

  • 枚数制限: 無料でできるのは銀行によりますが、口座があれば1日1回10~100枚まで(それ以上は即手数料)。
  • 拠点の制限: 「口座を持っていればどこの支店でも直ぐに両替できる」わけじゃありません。特定の支店を指定した「両替カード」を発行され、その支店以外では手続きできないケースが主流です。

10円玉や50円玉、100円玉などの小銭を揃えるだけで、お金とお金に換えるための手数料、そしてわざわざ指定の銀行へ行く手間(時間コスト)という三重苦が発生しているのが今の現場なのです。

「お釣り」をなくすための価格設定

この「小銭コスト」を回避するため、今のキッチンカー界隈では980円といった「端数が出る価格設定」は絶滅しつつあります。

20円のお釣りを渡すために、わざわざ手数料を払って10円玉を用意するなんて、お店側からしたら大赤字だからです。

今のトレンドは1,100円や1,200円といった「100円単位(または1,000円単位)のジャスト価格」。

お釣りのやり取りを極限まで減らし、100円玉以外の小銭を極力扱わない工夫が必須となっています。

ちなみに、どうしても100円玉が足りなくなった知り合いのオーナーは、銀行の手数料を嫌って、ゲームセンターの両替機に千円札を走らせて100円玉を作っている……なんていう、涙ぐましい裏ワザ(?)を使っているほどです。

お客さんの支払い方の割合と、手数料のリアルな比較

そんな現金受難の時代において、現在のうちのキッチンカーでの「お客さんの支払い方の割合」は、だいたいこんな感じになっています。

  • PayPay(QRコード決済):約 80% 〜 85%
  • クレジットカード:約 1% 〜 2%
  • 現金:残り(ごくわずか)

今や、お客さんの方から「現金でもいいですか…?」と申し訳なさそうに聞かれるレベルです。店側としては、これが本当にありがたい(笑)。

トヨタの生産ライン並みの「秒の戦い」

ランチタイムのキッチンカーに行列ができる時、勝負を分けるのは「1人あたり何秒で捌けるか」です。

現金で1万円札を出されると、お釣りを確認して手渡すまでにどうしても5秒以上のタイムロスが生じます。

一方、PayPayならQRコードをスキャンしてもらうだけで一瞬で完了します。

行列のストレスが劇的に減るのです。

では、各決済の手数料を比べてみましょう。

「でも、キャッシュレスは手数料を取られるでしょ?」と思いますよね。ここで、主要な決済ツールの手数料(目安)を比べてみます。

※2026年5月現在

支払い方法お店が払う手数料の目安現場のリアルな特徴
PayPay(単体直契約)約 1.98%圧倒的に安い。利用者が一番多い。
Square(スクエア)などのマルチ決済約 3.25% 〜 3.6%カードや電子マネーを一括導入できて便利だが、手数料は高め。
交通系IC(Suicaなど)約 3.25% 〜 3.6%便利だが、キッチンカー(移動店舗)だと審査で落とされるケースが多い。
現金両替1回につき約500円〜手数料だけでなく、お釣りの準備や数える手間(時間)が重い。

これを見れば一目瞭然ですが、カード決済や、何でも一括で受け付けられる「Square」などの便利な仕組みは、そのぶん手数料が3.6%程度と高めに設定されています。

その点、PayPay単体で直接契約したときの決済手数料は、他と比べても圧倒的に安い。

だから、利益を少しでも多く残したいキッチンカーにとっては、まさに救世主なのです。

これからのキッチンカーが取るべき「賢い支払いルール」

結論として、これからキッチンカーを始める方、あるいは利益をちゃんと残したい方は、以下の方法を強くおすすめします。

  • PayPayは単体で必ず導入する

決済サービスで一括導入するのではなく、手数料の安い「PayPay単体」のQRコードを店頭にポツンと置いておくのが一番賢いです。最初の一年間は手数料無料のキャンペーンをやっていることも多いですしね。

  • 現金とPayPayの「2本絞り」で十分戦える

最近、街の八百屋さんや美容室でも「クレジットカードは使えません。現金とPayPayだけです」という割り切ったお店が増えていますよね。キッチンカーもこれで全く問題ありません。

  • 「5千円札・1万円札お断り」の明記

お釣り不足のパニックを防ぐため、店頭には大きく「高額紙幣はご遠慮いただいております」と書いておきましょう。

お客さんのためを思って何でもかんでも支払い方法を増やすのは、お店側が手数料と管理の手間で自滅する原因になります。

日本中でみんなが使っていて、手数料が安く、現場のスピードを爆速にしてくれる「PayPay主軸のルール」こそが、長い目で見た時にキッチンカーの経営を一番ラクにしてくれます。

賢く選んで、シビアに利益を残していきましょう!