こんにちは。
東京肉骨茶(トウキョウバクテー)の伊藤です。
前回のコラムでは「食品ロスを出さないためのメニュー設計」についてお話ししましたが、今回はその裏返し。
これからキッチンカーを始めようと考えている方にぜひ知っておいてほしい、「実は食材ロスを生みやすいメニューの特徴」について、現場のリアルな視点からお話ししてみたいと思います。
キッチンカーの世界を見渡していると、見た目が華やかで一見人気が出そうに見えても、実際に運営してみると食材廃棄の山に頭を抱えている店主さんが意外と多くいらっしゃいます。
天候や出店場所によって客足が読みにくい移動販売だからこそ、選ぶ食材の特性ひとつで利益が大きく削られてしまうのです。
火を通したら後戻りできない「揚げ物・ハンバーグ系」
まず、初心者が思わぬ落とし穴にはまりやすいのが、唐揚げなどの揚げ物やパティを焼くハンバーグといったメニューです。
これらは提供スピードを上げるために「ある程度の見込み調理」が必要になりますが、一度火を通してしまうと、余ったからといって再冷凍することはできません。
「今日は売れそうだ」と見込んで大量に仕込み、急な雨や寒さで客足がピタッと止まってしまった瞬間、その温かい料理たちはすべて廃棄へと変わってしまいます。
「現場で火を通したあとに保存がきかない食材」は、客足の波がダイレクトにロスへと直結する、非常にリスクの高いジャンルなのです。
冷蔵庫の消費期限と戦い続ける「生麺」
ラーメンやつけ麺などで使われる「生麺」も、管理が極めてシビアな食材のひとつです。
生麺はそのまま冷凍してしまうと組織が壊れ、解凍時に食感が著しく落ちてしまいます。
市販の冷凍うどんのように「一度茹でてから急速冷凍する」といった特殊な工程を踏まない限り、基本的には生のまま冷蔵保存で消費期限と戦い続けなければなりません。
数日雨が続いて出店できなかったり、客足が伸び悩んだりしただけで、使い切れなかった麺は処分せざるを得なくなります。
ちなみに、うちのキッチンカーで麺類を出す際に「乾麺のフォー」を選んでいるのは、常温で長期間ストックでき、この廃棄リスクを完全にゼロにできるからです。
足が早く、熟成のピークが狭すぎる「生のフルーツ」
スムージーや生絞りジュース、フルーツサンドといったフレッシュな果物を使うメニューも、実は非常に難易度が高いビジネスです。
果物は仕入れ値そのものが高い割に、傷むスピードが圧倒的に早い。
さらに厄介なのが「食べ頃(熟成のピーク)の管理」です。
以前、沖縄の特別なバナナだけでスムージーを出しているこだわりの専門店を見かけたことがありますが、最高の糖度と甘みが出るタイミングを合わせるため、温度や熟成の管理にもの凄く神経を使われていました。
「熟しすぎて提供できない」「まだ固くて使えない」というロスが重なると、せっかくの売上はあっという間に消えてしまいます。
「もし今日ゼロ杯だったら」を想像してみる
メニューを考えるときは、どうしても「美味しそうか」「写真映えするか」に意識が向きがちです。もちろんそれも大切ですが、キッチンカーという小さな厨房で長く利益を出し続けるためには、もうひとつの視点が欠かせません。
「もし今日、悪天候で1杯も売れなかったら、この食材は明日どうなるだろう?」
この問いに対して、「冷凍ストッカーに戻せば1ヶ月持つ」「乾麺だから常温で置いておける」と即答できるメニューを選べているかどうかが、精神的なゆとりと安定経営の分かれ道になります。
もし果物などのデザートを扱いたい場合でも、生の果実をそのまま抱え込むのではなく、アイスクリームなどの保存がきくベースに少しずつ組み合わせるなど、リスクを分散する工夫はいくらでもできます。
まずは「日持ちがしてロスが出ない確固たる看板商品」をひとつ確立すること。
その土台さえあれば、天候に一喜一憂することなく、心に余裕を持ってキッチンカーライフを楽しんでいけるはずです。







